活動理念
「病気になっても安心して暮らせる社会の実現」
代表 服部 文(はっとり ふみ)
[所属・役割]
- 一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ 代表理事
- がん就労を考える会 世話人
- 日本骨髄バンク認定 移植コーディネーター
- 名古屋市がん対策専門部会 委員
[資格]
- 国家資格キャリアコンサルティング技能士2級
- 国家資格キャリアコンサルタント
- 日本キャリア開発協会(JCDA)キャリアカウンセラー
- NPOキャンサーネットジャパン(CNJ)認定がん情報ナビゲーター
- (公財)日本骨髄バンク認定コーディネーター
[著書]
- 2018年10月
「治療と仕事の両立支援ハンドブック
~従業員を辞めさせないためにできること~」
(株式会社 労働調査会)
私がブリッジを立ち上げて有病者の就労支援を志すことになった背景には、自らの体験があります。
成長過程において家族の命に向き合う体験をし、成人してからは自分自身が幾度かの大きな病気を繰り返し、転職も経験したことから、いつしか「人はいつ何時何が起こるか分からない、今ある日常は当たり前とは限らない」と骨身に沁みる感覚を持つようになりました。
そこから「今ある人生をどのように生きるか」というテーマが芽生え、近しい人たちの看取りの経験を重ねることで、さらにその思いが強くなりました。
2012年の第二次がん対策推進基本計画で、はじめて「がん患者の就労支援」が柱の一つとなりました。
その時、これまで学んできたキャリアの概念が自分の中でぴたりと重なり、就労支援を軸に「人が自分らしい人生を選び取るための支援」をするという目的ができ、活動をスタートさせることになりました。
- 有病者の就労支援が必要とされる理由
- 国のがん対策からスタートした就労支援ですが、当然人生を揺るがす病気はがんだけではありません。ですから、私たちはすべての病気の治療とともに働く人を支援の対象としています。ただ、行政の対策はがん・難病・脳卒中など、対象が分かれていることが多かったり、これまでの職場への復職か、新たに自分に合った職場を探すのかでも担当部署が異なったりします。行政とともに活動することが増えた現在においても、ワンストップで一貫した支援ができないことに苦慮しています。そのため、これだけ「仕事と治療の両立支援」が一般に聞かれるようになった今も、まだまだ私たちブリッジがすべきことは尽きません。
-
仕事と治療の両立支援が必要とされるようになった理由は、医療が進歩したからに他なりません。かつては難しいとされていた病気も、治ったり共存したりしながら、この先の人生が望めるようになってきました。でも、それは長期にわたり治療と付き合い続けることが増えることにもなり、働けるか否かのボーダーラインを曖昧にしたとも言えます。治療によって何らかの働きにくさを抱えながら、どのように職場と折り合っていくのか、それが大きな課題となっています。復職したのに居づらくなっていき辞めざるを得ないというケースも多く、決して復職がゴールではありません。その後の長い職業人生を、どのように職場と協調し、理解と配慮を得ながら、自らの能力を発揮していくのか。
私たちはそんな就労支援を実施し続け、社会に根づかせていきたいと考えています。 - 私たちの活動について
- 私たちは国家資格キャリアコンサルタントを中心としたメンバーで、病気の治療を続けながら働く人を支援する名古屋の団体です。この活動を通じて、「病気になっても安心して暮らせる社会を実現する」ことを目的としています。
- 患者さんへの支援はもちろん、医療機関や企業などと連携した活動をしています。医療機関は患者さんの病気や治療についての情報はあっても、職業や仕事内容、職場環境、発生する作業、治療がどう影響するかなど、一人ひとりの仕事のことを細かに把握することは困難です。一方、企業は仕事のことは把握できても、治療によってどんな作業に支障があるか、何に配慮すべきか、安全性の確保の判断はどうするかなど、治療上生じた問題の理解や対応方法に難しさを覚えます。医療機関にとっての患者、企業にとっての労働者、そこで生じる差をうまくつないでいく支援を展開します。個別事例への支援だけでなく、そのような就労支援のステークホルダーが領域の垣根を越えて学び合う場や、就労支援に取り組む機運を高める場の醸成にも力を入れています。
- 国家資格キャリアコンサルタントとは
- 労働者がさまざまな節目(転機)でキャリアを選択し、自力で課題を乗り越えられるように、カウンセリングにより側面支援をする専門家です。
思いがけない大きな病気に罹患した時、人は誰しもが多かれ少なかれ動揺します。 -
いきなり想定外の出来事が降りかかってきて、これまで漠然と思い描いていた人生計画の変更を余儀なくされるのですから、受けとめきれなくなってしまうのは当然のことです。
しかし、いかに認めたくない出来事であっても、病気が間違いのない事実であるならば、その治療という要素や役割も含めた人生の再構築を迫られる局面なのです。
私たちブリッジの支援に携わるメンバーは、全員、国家資格キャリアコンサルタントの資格保持者であり、支援に必要となる医療の知識を学び、その領域における特性を学び続けています。 - しっかりと個人の気持ちに向き合い、状況を整理し、その人らしい人生を選び取るための支援をします。
活動実績はこちらから
講 演
- 講演・フォーラムへの出演
- がん患者の就労支援は社会的にも必要とされています。今までにいくつかの講演やフォーラムに出演し、その必要性や心構え、いかに行動するかなどを発信してきました。
支 援
- 各対象に向けての支援活動
- がん患者さんの就労支援は、個人への働きかけだけで完結するものではありません。
職場環境への働きかけ、キャリアの支援者ががんに対する理解を深めること、さまざまなバランスの上に成り立ちます。
ブリッジでは、左のように大きく分けて3つの対象に向けての支援活動を推進しています。 - 内容は各ページでご確認ください
その他
- イベントへの参加・啓発活動
- がんになっても安心して暮らせる社会の実現のために他団体とも協力し、積極的に発信しています。
- 病院・自治体への提案活動
- がんと診断されたその時、人は自分の人生に思いがけない出来事が降って湧いたことに混乱します。正常な判断ができなくなることもしばしばです。ですから診断された時点から継続した支援を患者さんに届けることが非常に重要です。
そのためには診断が行われる場、医療機関において(就労も含めた)今後の人生についてしっかり向き合い考えられる相談窓口を設置することが不可欠です。私たちはより良い支援を提供するために、病院・自治体に働きかける活動を続けています。